3月31日、それは年度で考えると最後の日です。
学校や職場などこれまでの生活が集結する最後の日。
そしてまた次の日から新たなる生活が待っている、そんな日です。
そして美容業界でいうならば、3月31日は大変重要な日。
そう、国家試験の合格発表日なのです。
美容学校はお祭り騒ぎ(全員合格したらさらにね)
わたしは以前に、美容専門学校で教員として従事していたこともあり、美容学校にとってこの3月31日という日は特別な日でございました。
もう朝から職員室はソワソワ。
2年生の担任は「まさかうちのクラスから不合格者がでないだろうか」という見えない何かにとらわている感じ。(そしてそれを心配するふりをして陰でニヤニヤしている1年生担任)
そしてその心配を覆い隠すかのように朝からやけにハイテンションwww
近年はインターネットで発表なので、パソコンで一人ひとりの受験番号を入力して合否を確認、顔を見れば大体どんな結果なのかわかります。
全員確認し終わったら、全員合格のクラス担任は笑顔満開で上司に報告をしに行き、不合格者が出たクラス担任はまるで世界が終わったかのような顔で上司に報告をしに行く…。
どこの美容学校も同じような光景になるのではないでしょうか?(わたしだけでしょうか?そんな目で見ていたのは)
まぁ一言でいうならばお祭り騒ぎなのであります。
なぜ合格発表が3月31日なのか?
本日、美容業界でもかなりの影響力がある「air/LOVEST」の木村直人さんがこんなことをブログに書いていました。
美容師の国家試験の合否発表を3/31にするのは改正した方がいいと思う件。
落ちたら大変。
サロン側も困るだろうて。
半年前くらいにした方がよいのでは?と…
そう思いません?
厚生労働大臣さまぁ〜。
naotokimura.tokyoより引用 → http://naotokimura.tokyo/archives/21451
確かにその通り。
美容師という職業が「国家資格」を持っていないとできない職業であることから、これに合格しないと「理論上」仕事ができないということになります。
しかしサロンの就職内定はすでに決まっており、多くは4月1日から正式に入社、3月中から研修を行っているところも多いでしょう。
もしも、その内定者が「不合格」だった場合の対応は、各サロンによって様々だと思いますが、最悪の場合「内定取り消し」になるケースもあると聞いたこともあります。
これは一見「内定を取り消された側(学生)」に不利益が多いように感じるが、実は「内定を取り消した側(サロン)」にも大きな不利益が及ぶことは間違いないです。
- そもそも求人にかかるコストはただではない。むしろ膨大な時間と金銭的なコストがかかっている。
- その人を4月からの戦力として考えている。
- もし必要なら新たに求人をしなければならず、さらなるコストがかかる。
というような問題が起きます。
これを見る限り、サロン側及び学生側双方にメリットがあるとは思えません。
ましてや学生たちにとっては、晴れて卒業式を終えて次なるステップに進もうとしているのに、3月31日まで試験の結果がわからないなんて、おちおち「卒業旅行」なんかを全力で楽しむことができません。
木村さんのいうように、もし半年前に合否がわかっている状態で就職活動ができたのなら、または早めに不合格がわかっていたらサロン側も対応に時間がかけられるようになり、今よりはいくらかマシになるでしょう。
しかしこれは現行の制度では難しいのかなと感じます。
これを説明するにはまず、国家試験の制度から説明しなくてはなりません。
美容師の国家試験を受験するためには、国が定めた時間を履修する必要がある
まずはこれが第一の問題です。
美容師の国家試験を受験するためには、2年間で約2000時間の授業数を履修しなくてはなりません。
この2000時間の中に「必修科目」と「選択必修科目」があり、「必修科目」に関しては決められた教科を、「選択必修科目」には各学校がある程度自由なカリキュラムを組んで授業をします。2000時間は「必修」です。
今の環境でいうと、土日祝日は学校が休みとして、さらに夏休みなどの休暇も考慮すると、1年のうち授業日数が約200日。2000時間を2年間の400日で割ると「1日5時間」の授業日数が必要になります。他にも不確定要素なども踏まえると「1日5時間」では足りないかもしれません。
現実的に2年間カツカツでやらないと2000という履修時間はクリアできないわけです。
4月に入学した学生は2年後の2月3月の試験を受ける
2年間でカツカツの履修時間をクリアした(とみなす)学生は、卒業間近の2月に実技試験、3月に筆記試験を受験します。
結果、この時期に受験した「合否」に関しては、3月31日に発表されるという流れです。
上で「みなす」と書いたのは、受験を申し込むのは11月、実はその時点では完璧に履修したことにはなっておらず(この時点では未履修)、現実的には「ここから先も出席するであろう」という「見込み」で出願するからです。
現行の制度で解決するなら。案をいくつかあげてみた
わたしが考える解決法(制度上できるかどうかは不明)です。「現行の制度で対応するならこれならどう?」と勝手に考えたものですのでご理解を。
1、美容学校に通う期間を半年伸ばす
これは、履修に2年まるまるかかるのであれば、「合否の結果が出るまで卒業させない」という手段です。これにより卒業する時期は3月31日より遅くなります。ある意味、結果がわかってから「残りの学生生活は就職活動をする」というものありなのかもしれません。ただ、サロンに入社してくるのは夏とか秋になってしまいますが。
あとは、サロンに内定をもらったらすぐに研修を開始してもいいかもしれません。だってもう国家資格は持っているのですから。
ちなみにこの案が実現したらいちばん喜ぶのはおそらく美容学校です。なんせ半年分余計に学費を徴収できますからね。
2、授業を行う日数と1日に行う授業の時間を増やす
これは時間的に、それと学生や教える側の教員の体力がもつのかどうかという問題もありますが…。
まず休日は日曜日だけにします。そして1日の授業時間をできるだけマックスにします。1日11時間とか。そうすることで履修する期間を短縮するのが狙いです。
履修する期間が単純に半年以上縮まれば、2月3月の試験ではなくその前の8月9月の試験に受験できるようになるのでは?(美容師法的に可能なのかどうかは検証していません。あくまでわたしの妄想です。)
夏季試験(国家試験は1年に2回)を受験すれば合格発表は9月30日。はれて就職活動に打ち込めるというわけですね。
3、「見込み」をもっと早く出す
上に「見込み」を出して出願すると書きました。これは「このまま行けば残りの授業時間も履修するだろうから、今は足りなくても卒業までには履修できますよ」というものです。それが11月くらいの段階で出せるのであれば、その前の5月に出しても問題ないのでは?
これも現行の制度で可能なのかわからないですし、美容学校も絡む問題なのでなんとも言えないですが、やってできないことはないでのは?と思います。
以上、わたしの勝手な妄想でした。
ちなみにわたしは夜間部の美容学校に通っていたのですが、1と2に関しては実践されておりました。昼間部と比べて時間数が取れない夜間部は、休みは日曜だけ、通う期間も2年半に延長されておりました。(ちなみにわたしの下の学年からは在学期間が2年になり、1日の授業数が増えた)
昼間の学生が、桜がきれいな3月に華々しくどっかのホールで卒業式を挙げていたというのに、わたしたち夜間部は枯葉舞い散る秋に、学校のせまくるしい教室で卒業式を挙げていたことは、今もうらめしくもあり、いい思い出です。おかげで理事長先生のお顔も、大変近くで拝見することができました。
業界全体の声を反映してほしい
おそらく今回の問題、特に現場の方たちは皆同じように「おかしい」と感じているのではないでしょうか?
そもそもこういう「お役所」関連のことは、現場の声など全く反映されず、やりやすいとかの「向こう」の都合で決められてることが多いように思います。
ぜひこれからの美容業界をよくするべく、影響力のある美容師さんが、国会議員なり、大臣なり、総理なりになっていただくことを願い、この長くなってしまったブログを終わりにしたいと思います。
あぁ、美容業界に幸あれ。
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