これだけ乱立している美容室の中で必要とされるためのヘッドスパを目指して

先日、ボスを通じて、お取引させていただいている美容ディーラーさんから「ヘッドスパ」について話を聞きたいという打診がありました。本来はボスあての案件でしたが、なんせこの4月からは、「サロンのことはすべてわたし」ということになりましたので、この件に関してもわたしにバトンタッチされました。

何も事前情報がないとこちらもちゃんとした対応ができないので、まずはそのディーラーさんに連絡をしていろいろと情報収集。この話になったきっかけは、まったく予想外のところからでした。

  • 千葉の方にあるサロンの方があるメーカーに「ヘッドスパ」のことで相談をしたらうちの名前が出た。
  • そのサロンの方がディーラーさんにうちの名前を出したら、そのディーラーさんはうちのサロンを知っていた。
  • ディーラーさん(担当の方)はうちのボスの(前の職場の)先輩だった。
  • 相談をしたサロンの社長さんとうちのボスにたまたま面識があった。

という流れです。世間(美容業界)は狭いなーと思いますし、なによりメーカーさん(うちはあまり取引がないメーカー)からうちの名前が出ることがまずおどろき。

正直申しまして、小さな小さなサロンであるうちの名前が、そんなところから出てくるなんて思いもしなかったわけであります。でも嬉しいことですよね。

 

うちのヘッドスパの概要

聞きたい話というのは、「どのようにヘッドスパを成功させるか」ということでした。結果を出すための取り組み方ですね。うちのサロンも「大成功!」しているとはまだまだ言い難く、発展途上であります。ただ他のサロンと比較して(感覚的なものですが)「スパ率(総客数に対するスパ人数)」が若干高いことと「スパリピート率」がそれなりなことは自覚しています。

うちがどのように今の状況まで持ってきたかというのを参考にさせてもらいたいということだったんですね。ということで、今回お話させていただいたうちのような小さなサロンの戯言を、先方の役に立てたのか甚だ疑問ではございますが、ここでも忘備録として残しておこうと思います。

 

取り組みを始めた時期

「ヘッドスパ」を前面に打ち出し始めたのは今から8年ほど前です。ちょうど今のサロン形態にリニューアルをしたときがきっかけでした。まだその頃は今のように「ヘッドスパ」という言葉が美容界にも、ましてや一般のお客様まで浸透していなかったと思います。その頃から「うちはヘッドスパを売りにする」という旗印を掲げ取り組んできました。一朝一夕ではここまでたどり着けないものだと痛感しています。

現在ではその甲斐もあって「月平均で20%前後」のヘッドスパ率を達成しています。この数字は「総客数」に対する「ヘッドスパ数」の数字です。「総客数」には当然お子様や男性も含んでいます。

やってみなければわからない、見えないものがたくさんあり、8年間続けてきたからこその価値がある。今後もさらに時間をかけてブラッシュアップを続け、さらなる「成功」に近づけるようにしていきたいと考えています。

 

単価を上げることが第一の目的ではない

もしかしたら「ヘッドスパ」をアプローチする理由が「既存メニューに付加させて単価を上げるため」ということも多いのではないかと思います。うちも「単価を上げるためではない」といえば嘘になります。始めた当初は「単価を上げる」という目的が主としていたときもありました。

しかし今はそれよりも「差別化」の意味合いが強くなっています。「差別化」とは「他のサロンとの違い」という意味です。

カットやカラー、パーマなどの技術はどこのサロンに行ってもできます。ただその技術で他のサロンと競争することは、「自らレッドオーシャンに身を投げる」ことを意味します。当然そこでダントツに勝ち抜けるだけの技術と魅力を持っていればいいのですが…。

ならば比較的競争確率の低い「ブルーよりのオーシャン」を狙って、サロンの強みをアピールすることを考えています。だからといってカットなどの基本技術がどうでもいいわけではないですよ。そこは当たり前にやっていくことが前提です。

よくうちのボスが「餃子」で例えます。全体的にそこそこの中華屋よりも、抜群にうまい「餃子」がある店の方がインパクトが強い。餃子がうまい店ならば必ず餃子を頼むはずだ!と(笑)。まぁ看板メニューってことですね。その方が広告的にも打ち出しやすいというわけです。

 

メニューは豊富に

強みとして打ち出す「ヘッドスパ」のメニューは多少多めにしています。理由としては、

  1. 目的別に分けることにより、ニーズに対応するため
  2. 力を入れていることのアピール
  3. 飽きさせないため

ということが挙げられます。それぞれを少し解説します。

1、目的別に分ける

これはお客様が「何を求めているのか」によって選べるようにしています。例えばベーシックなものにプラスして「育毛効果」に特化したものや「リフトアップ効果」を望めるもの、「季節によって限定で提供する」ものなどです。これで常に6〜8種類のスパを準備しておき、あとはお客様に好きなものを選んでいただいたり、こちらから提案したりします。

2、力を入れていることのアピール

あるものの専門店にはそのものの品数が多いことから、やはり力を入れているのであれば、メニュー数が多い方がいいであろうという考え方です。

3、飽きさせないため

特に「季節のスパ」はその意味合いが強いです。普段は通常ラインアップのスパを、「季節のスパ」の時期はそのスパをする方が多いです。

 

施述時間は15〜20分

うちのヘッドスパの時間は、ほとんどが15分〜20分。これはシャンプーなどを含まない「スパ工程のみ」の時間です。この時間に設定している理由は以下になります。

  1. 長すぎてもお客様が疲れてしまう。
  2. 「時間」を理由に断られることが少なくなる。
  3. 時間を長くすると単価が上がり、進めにくくなる。
  4. オペレーションの問題。

これも少し詳しく解説します。

1、長すぎてもお客様が疲れてしまう。

うちのシャンプー台は、フラットに寝ることができるいわゆる「夢シャン」です。しかしいくら楽なシャンプー台だったとしても、長い時間寝ているのはやはり疲れます。スパの時間が15分だとしても、カラーシャンプーなどの時間を入れると、結局30分弱くらいになります。出来るだけ負担をかけずに満足していただく。経験上その絶妙な時間が「15分〜20分」だったというわけです。ちなみに数年前まで「30分コース」もあったのですが、全然出なくて絶滅しました(笑)。

2、「時間」を理由に断られることが少なくなる。

お客様にオススメしたときの定番のお断りワードとして、「今日は時間がないのよ〜」っていうの多くないですか??やはりプラスαでオススメするメニューに「40分追加」とかだとハードルが高いわけです。しかし15分前後の追加時間だとお客様の受け入れやすく、時間を理由に断られることが少なくなりました。

3、時間を長くすると単価が上がり、進めにくくなる。

これも2と同じような理由ですが、時間を長くすることにより、スパの単価も上げないと採算が取れなくなります。施術料金が上がれば、お客様を誘致するためのハードルが上がり、結果やってくれる方が少なくなる…という悪循環になりうるため、時間と料金のバランスを取っています。

4、オペレーションの問題

シャンプー台は夢シャンなのですが、台数は2台しかありません。しかもシャンプー台はスパだけで使用することわけではないので、他のメニューの方も当然ですが使用します。ここで「長い時間のスパ」をやってしまうと、例えばカラーのシャンプーなど時間を気にしなくてはいけないオペレーションに影響が出てきます。うちのような少ないシャンプー台数でうまく回すには、このくらいの時間が限界なのかもしれません。

 

自信を持って継続する

ベースが整ったならばあとは行動あるのみです。そしてその行動を続けること。

まず、お客様には必ずスパの存在を知らせます。カウンセリングの際に簡単に「本日はトリートメントやスパはいかがいたしますか?」と伺う。ここで大事なのはしつこくオススメしないこと。まずその存在を知らせ、興味を持った方には詳しく説明し、断られたら引く。これの繰り返しです。経験上、以外とやってくれる方が多いです。あくまで「さりげなく」です。

そして施術する数が多くなれば、技術的にも成熟してきます。メニューだけ存在していて、1ヶ月に数回のオーダーしかなければ、技術的な面での向上はなかなか望めず、悪いスパイラルに陥ってしまいます。

ある程度オーダーの数が出れば、

スタッフの技術を行う回数が増える→技術が成熟する→お客様の満足度が上がる→リピート→スタッフに自信がつく→オススメの精度が上がる→(最初に戻る)

というプラスのスパイラルに入ることができます。

ただある程度の数字を達成できるようになると、停滞期に入ります。うちが今まさにここに入っているところです。この壁とは主に数字(月平均スパ率約20%)のことですが、これをどう破っていくのか、そこが今後の課題になっています。

  • お客様にもっと満足してもらえるスパにし、リピート率をさらに上げる。
  • まだうちに来店されたことのない方への、「ヘッドスパこだわり店」としての認知を上げ、来店していただけるきっかけにすること。

です。

そのために、この4月から新しい取り組みも開始しました。今回いただいたご相談の件のように、もっともっと外部に轟くようなヘッドスパにしていくこと。そのために様々なことを考え、そして行動、修正を繰り返していこうと考えています。

長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

石川 マサキ
ヘアデザインやWEBデザイン、DTPデザインや動画編集などを行うマルチデザイナー。アップル製品と車とハワイをこよなく愛する40代プチオヤジ。
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