モノが売れるということ

サロンの月末結果で快挙がありました。店販商品の売上が、月平均の10倍を記録したのであります。もともとの平均値(店販売上)がそんなに高くないとはいえ、これはサロンの立ち上げ以来の記録値であり、驚くべき数字であります。

本日はなぜそのような結果が出たのか、管理者の立場から分析してみたいと思います。

店販に関して力を入れて取り組んでいない

弊社では店販に関してもともと力を入れていません。これは賛否両論あるということは重々承知しています。「売らない」ということではありません「無理やり売らない」ということです。

店販に関しノルマを設け、足りたい部分は本人が買い取り

というやり方をやっているサロンは、昔からあると思います。エステ業界なんかは特に多いと聞きます。わたしが以前勤めていたサロンでも、12月にキャンペーンと称して通常より安い価格で店販を売っていました。スタイリストもアシスタントもそれぞれ個人にノルマ金額が課され、達成できなければ買い取りというのは暗黙の了解(一応強制ではない)。当時アシスタントだったわたしは販売能力もなく、12万円という手取りの中から欲しくもない店販商品を買わざるを得ない状況でした。当然いい気分ではありません。お客様の方もスタッフからゴリ押しされる12月以外はほとんど購入しないような状況です。

弊社の方針はわたしのこの経験が反映されているわけではありませんが、少なくともわたしはスタッフに同じ思いをして欲しくないとは思っています。

ノルマを課して販売することに100%否定するつもりはありません。これをやることで営業スキルが身につき、会社の売上げに貢献すると同時に個人の給料に反映されていくのであればお互いにメリットはあるのだと思っておりますので。

 

スタッフに還元する歩合率は15%

弊社の店販に対する歩合は15%です。税別1000円の商品を販売した場合、150円が歩合としてバックする給与規定になっています。

これは業界的にはまあまあの数字なのではないかと思います。おそらく10%バックが多いのではないかと推察します。

 

今回爆売れしたものは

店販が苦手なうちのサロンで今回爆売れしたのはなにかといいますと…

ヘアビューザー→公式サイト

というヘアドライヤーです。業界でも話題になっている新商品で、とにかくすごいドライヤー(すみません。詳しく調べていません。)ということです。

このドライヤーの価格、なんと¥33000!

スタッフには申し訳ないが、普段1000円のワックスもろくに売れないのに、¥33000のドライヤーが爆売れとはこれいかに!

思わずびっくりでございます。

 

なぜ売れたのか

今回この商品を販売するにあたり、スタッフ主導で進んでいきました。

お客様に販売するのであれば、サロンに現物がないとなかなかオススメできない。しかしドライヤー本体は高い。経営陣が経費に関してうるさいことは知っている。

そこでスタッフがとった行動は、自分が欲しいし使ってみたいという思いもあったことから自ら購入。実際に自分で使用して良さを実感し、それをサロンに持ってきてお客様にも体験してもらい、自分が感じた良さをリアルに伝える。

そうすることでお客様にもそのドライヤーの良さが伝わり、高価なものにもかかわらず、購入していただける。

そんな現象が起こっていました。

日々の売上げ報告で店販売上げが上がっていくのを不思議に思い、データを詳しく確認したところ、このドライヤーが爆売れしていることがわかりました。

会社としても、個人の所有物を営業用に使わせるのは忍びないと思い、販売実績の売上分でサロン用のドライヤーを仕入れることを許可しましたが、スタッフの意見は、

「ドライヤーはわたしたちのものでいいので、カールアイロンを買ってもらいたい」

とのこと。さらなる販売を目論んでいるのです。

店販売上の数字もスタッフからの提案も、こんなことはサロンを立ち上げてから初めてのこと。この高価なドライヤーが店販下手なうちのサロンで売れたこと、その要因は、

  1. スタッフ自ら見つけてきた
  2. スタッフが自分で欲しいと思うものだった
  3. スタッフが実際に使用してよいところを感じた
  4. スタッフの体験をそのままお客様に伝えることができた
  5. 商品力がよかったのも要因

だと思います。

特にスタッフから自発的に始まったことというのが、わたしはとても大きな要因だと思っています。

 

結果を出したことに対しての会社からの気持ち

今回自発的に行動を起こし、そして結果を出した。そんなスタッフに対して、サロンマネージャーという立場で何ができるか。頑張った結果に対しては何かカタチにしてあげたい、そう考えたわたしはボスに次のような事を交渉しました。

  • そもそもうちはそんなに店販売上に関して期待してないですよね?
  • 高い商品を1台販売した場合の利益はそれなりに高いですよね?
  • だったら今回頑張ったスタッフに還元したいです。

簡単に言うと、¥1000のものを売った場合と¥33000のものを売った場合の利益は単純に30倍です。もともとの歩合分をスタッフに還元したとしても店舗の利益はあるのだから、もっと率を上げてあげたいと。そこでわたしが出した提案が、

  • 10台の販売実績を残したら、11台目からの店販歩合は20%に引き上げる

というものです。ただこれは全ての店販商品に対するものではなく、あくまで「ヘアビューザー」関連の商品に限ったもの。それだけでも今回の努力に対して何らかのカタチで応えたかったですし、スタッフの思いは違ってくると思ったのです。

なんとかボスの承認を得て、この提案は実現に至りました。そして無事10台の販売実績も作り、次に販売したものからは20%の歩合が適用される事になりました。

 

今回の件でわかった事

今回でわかった事と言いますか、今までもわかっていたけれど証明されていなかった事と言った方が正しいかもしれません。

モノを売るために必要な事、それは、

  • まず自分が欲しいと思うもの
  • 自分が使ってみて良いと思ったもの
  • 自分以外の人にもオススメしたくなるもの

でなくては売れないという事です。

いくら会社で準備した商材やキャンペーンを、実際にオペレーションするスタッフたちが、納得し、理解し、気に入っていなければ結果は出ないという事です。

逆にこの条件が満たされていれば、自然と結果に結びついていくと言う事です。

わたしたち経営側の人間は、売るものを準備したり、売るための作戦を考えやらせるだけでは結果は出ない。スタッフが上記条件を満たし、自発的にやる環境を作り上げるか、そこにつきるのだと実感した出来事でした。

まだまだこれからも学ぶことがたくさんです。

 

この記事を書いた人

石川 マサキ
ヘアデザインやWEBデザイン、DTPデザインや動画編集などを行うマルチデザイナー。アップル製品と車とハワイをこよなく愛する40代プチオヤジ。
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