理美容師法の規制緩和がされたら何が変わるのか?きっとわたしたちのやることは変わらない。

こんなニュースが出ていました。

まつエクやシェービングなど細分化した資格の創設を

簡単に結論だけ抜き取ると、

「まつエクやシェービングだけやりたいのに理美容の資格がないとダメなんて考え方が古いからそれ専門の資格をつくってくれー」

というものです。このような要望は以前からいろいろな団体から出ており、まつエクやシェービングだけでなく、「カットだけやる理美容の資格をつくれー」とかもあるようです。

現行の法律だとまずは理美容師の資格が必要

まつエクを施術するにも、シェービングを施術するのも免許が必要になります。例えまつエクだけやシェービングだけしか施術しないとしても、美容師免許や理容師免許を取得している人が、美容所や理容所で行わなければならないのです。これが現行の法律。

つまり、まつエクだけをやるにしても、2年間(通信だと3年間)専門学校に通学し、国家試験に合格して美容師の資格を取らないとダメだということです。

 

この団体の要望は「規制緩和」

この要望を出しているのは「ピアス株式会社」。化粧品を製造販売している会社のようです。直営でまつエクサロンもやっているのかな?その辺の情報は公式WEBサイトには見つかりませんでした。

ちなみに要望の内容を抜粋。

2.当社は、このテーマに関する規制緩和の方向性として、「理美容の施術資格の細分化実現に向けた検討」を加えて頂くよう要望する。具体的には、以下の通り。
(1)答申中、「イ 理美容業の在り方に係る規制の見直し」の「d 国家試験及び養成施設の教育内容」の検討において、現行の美容師・理容師のような総合的資格を維持しつつ、近年の消費者ニーズに対応するため、より細分化された技術資格の創設に向けた理美容師法の適用業務の見直しをテーマとすること。

例えば、まつ毛エクステンション、アイブロウトリートメント、およびシェービング施術に代表されるパーツ美容サービス(顔や身体の気になる部位だけを対象に施術する専門美容サービス)に関しては、現在、これら施術が可能な資格は美容師(まつ毛エクステンション、アイブロウトリートメント)または理容師(シェービング施術)となっている。 このようなパーツ美容サービスについて、これら総合的な資格のみで画一的に規制する現状を改め、
●サービス毎に必要十分な知識・技能を確保する個別資格の創設
●この個別資格取得者を育成する教育システムの構築の実現を検討する。
この場合、現在の美容師・理容師の養成カリキュラムにおいて、各パーツ美容の施術者となるための必修科目を予め設定し、これら科目の単位取得者は、全てのカリキュラム課程を修了しなくとも、パーツ美容サービス専門施術者としての個別資格は取得できる制度とすること等が考えられる。
このような制度設計を通じて、パーツ美容サービスの施術者を志望する人々の資格取得への門戸を広げ、就業機会の増加につなげること、および確かな技術を有するパーツ美容サービス施術者の増加による、消費者の安全の担保と多様化が進む美容ニーズの一層の充足を図ることを目指すべきである。 なお、米国や韓国では、以上のような細分化された美容資格制度がすでに実現していることを申し添える。

要約します。

「まつエクとかシェービングだけをやる人に何年も理美容の国家資格取るため学校に通って勉強する時間はムダだから、それ専門の資格をつくって、それ持ってれば営業できるようにしてほしい。アメリカや韓国ではもうやってるよ?日本遅れてない??」

ということです。

 

対立する議論

要望を出しているのこの会社のように、現行の理美容師法に規制緩和を訴えかける団体は多い。少し前には某カット専門店を運営する大会社が同じように規制緩和を訴えておりました。その甲斐あってか多少の緩和が決まったわけで…。

これまでの法律に風穴を開けて、少しでもビジネスをやりやすいようにするための規制緩和だとわたしは認識しております。

これに対立するのが業界団体。理由は業務独占です。

このような規制緩和が行われれば、異業種からの参入も多くなり、さらなる競争が生まれるのは必須。なおかつ、免許を持たない「理美容師ではない人」でも従事できるようになる。人材を確保する側にとってはメリットだが、これにより理美容師になろうとする人が減っていくのは、業界にとっては死活問題。

さらに巨大資本が参入してくることによる価格競争。これに巻き込まれては、中小零細企業(または個人店)である理美容サロンに勝ち目がないことは明白(あくまで価格競争での話でサロン運営という商売で負けるということではない)。

なので必死でこれをさせないように働きかけていると考えられます。

 

どのような結果になるか

この規制緩和が果たして成すかどうか。静観したいところではありますが、わたしの個人的な意見としては、

どっちでもいい。

理美容師になる人はおそらく減るでしょう。美容学校に関しても、その新しい資格を取るための専門学科を創設すれば、あとはその学校の魅力でどうにでもなるでしょう(学生の争奪戦はさらに激しくなるはず)。

今の段階でも人材不足は深刻です。もう既に少子高齢化の影響も受け(それだけではないはずだが)美容師になる人は減少しています。なのに美容室は増えてる。全国の美容室の数は全国の信号機の数より多いらしいですよ、マジで!だからこの規制緩和によってそれほどの影響があるとは思えない。

今専門でまつエクをやっているサロンはおそらく、

「しょうがないから美容所登録している」

ところがほとんどではないですかね。雇ってるスタッフも、最初から免許持っている人はいいですが、持ってない人が働いていて、指摘されてから取りに行った人も多いはず。早い話、この制度自体「ないほうがいい」と思っている専門店は多いはずなのです(あくまでわたしの主観です)。

今、わたしたちが考えるべきは、そんなことよりもサロン個体としてサロンの発展を、業界団体がもっと真剣に業界の発展を考えていくべきかと思います。

わたしは自分がマネージメントしているサロンで手いっぱい。ここをまずなんとかせねば。つねづねそう考えております。

どちらに転ぶにしても、理美容業界に幸あれ。

この記事を書いた人

石川 マサキ
ヘアデザインやWEBデザイン、DTPデザインや動画編集などを行うマルチデザイナー。アップル製品と車とハワイをこよなく愛する40代プチオヤジ。
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